取材レポート

洗足学園小学校

「iPadを活用した学習」 2018年度から3年生全員にiPad導入

洗足学園小学校では、一人ひとりが学ぶことの楽しさ、面白さを見出し、深い理解に基づく学力を育むことを目指して、様々な体験を取り入れた授業を実践しています。2018年度から、3年生に1人1台iPadを導入しました。国語科の小野かすみ先生、社会科の仙波明浩先生に活用事例などのお話を聞き、iPadを活用している国語と社会の授業を取材しました。

国語科 小野かすみ先生のお話


社会科 仙波明浩先生のお話


4年生の授業を取材しました

国語科 小野かすみ先生

国語科 小野かすみ先生

社会科 仙波明浩先生

社会科 仙波明浩先生

国語科 小野かすみ先生のお話

iPadの導入で児童の荷物も軽量化

これからの時代を生き抜くためには、ICTに関する知識や技術を小学生のうちに身につけておくことが必要だと考えて、昨年度から3年生全員にiPadを導入しました。使いこなす技術を学ぶことが一番の目的ですが、子どもたちの荷物を減らすことにもiPadは大きな役割を果たしています。教材が多いと毎日荷物が重くなってしまうので、できるだけ負担を減らしたいと考えていました。テキストをiPadに入れておけば、冊子は家か学校のどちらかに置いておくことができます。辞書もiPadに入っているので、持ち歩く必要がありません。今年度は、3年生と4年生の全員がiPadを持っています。来年度の3年生が1学期からすぐに使い始められるように、今年度中に2年生も1人1台で使い始める予定です。
iPad導入の際に、基本的なルールなどを書いたガイドブックを作りました。「学習のために使う」ことが基本です。学校の方針に則った上で、細かい決まりごとは各家庭で決めていただいています。今は小学生向けのアプリや機能を使っていますが、最終的には、社会人になったときに使いこなせるようにレベルアップしていきたいです。使うアプリなども現段階では教員が指定していますが、いずれは自分がしたい表現に合わせて、自分でアプリを選んで使えるようになることを目指しています。
子どもたちは、慣れるのが本当に早いです。算数では、問題を子どもたちのiPadに送り、子どもたちの解き方を電子黒板で一斉に比べてみたり、理科ではアップルペンシルを使って観察スケッチをするなど、教科ごとに様々な場面で活用しています。一度教えると、子どもたちはすぐにできるようになるので、私たち教員もスキルアップしていかなければなりません。外部の研修に参加したり、他の学校でどのように使っているか見学するなどして、教員同士でも情報共有しています。

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iPadの活用で表現することの楽しさを知る

国語の授業では、物語文を学んだ後に感想をまとめるときや、説明文を実際に作ってみるときにiPadを使っています。児童の中には、紙に自分の文字を書くことに抵抗がある子もいます。以前は、頭の中で考えていることはあるのに、文字を書くことにコンプレックスがあるため、それを外に表現できないこともありました。iPadなら打ち込むだけなので、自分の思っていることを抵抗なく表現できています。写真を撮影したり、図を作ることも紙のときより簡単にできるので、レポートなどの作品のクオリティも上がりました。各自が意見をiPadに打ち込めば、全員分を一気にスクリーンに映すことができます。一人ひとりに意見を聞いて、黒板に書きだすために使っていた時間を話し合いなどに使えるようになりました。

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社会科 仙波明浩先生のお話

実践を重ねて発表のレベルアップを目指す

クラスを8グループに分けて、各自が担当する部分の資料を作って発表するためにiPadを使っています。テキストの1ページ分ずつ担当し、発表に向けた資料を作りました。今回は、Keynote(キーノート)というソフトを使って資料を作りましたが、便利な機能がたくさん付いています。スライドに動きを加えるアニメーションの機能もあり、子どもたちは使いたがって過剰に入れてしまう傾向がありました。しかし、発表し終わった時に「アニメーションはいる?」と聞くと、「いらない」という反応が多かったです。発表を見ている子どもたちの反応も感じて、どうやったら効果的に見せられるかを学んでいくと思います。子どもたち自身が気づいたことを実践できるように、改善するチャンスとして次の場も設定していくことが大切です。
声に出して発表するのが苦手な子もいますが、そういった子の中にはデジタル分野が得意な子もいるので、資料作りで自信をつけていくケースもあります。発表の仕方も変えながら、自信をつけられる機会を作っていきたいです。欠席した児童には、配布物や宿題などをiPadで送ることができます。登校前に家で目を通しておくこともできますし、iPadでノートを撮影してデータとして送ったり、iPad上で宿題を提出することも可能です。社会科でも、調べ学習や発表以外に、様々な形で活用していきたいと思っています。

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教科部会でiPad活用事例や課題を共有

iPadは学習ツールの1つです。iPadありきで授業を組み立てるのではなく、手書きなどの方が効果的な場合はそちらを使い、ICTのよさが活かせる場合はiPadを使うというように、バランスを考えて授業を進めることが大切だと考えています。子どもたちにとっては、iPadはなんでもできるツールです。発表する資料に動きをつけることばかりに時間をかけて、内容が薄くなってしまうなど、伝えたい内容と違う方向に進んでしまうこともあります。子どもたちの興味や関心を社会科に結びつけられるように、教員の中で共通理解した上で使っていくことが課題です。
月に1度、教科部会を開いて、授業での様子や使い方などを教員同士で共有しています。4年生の社会科では、今回の単元で発表という形で使ってみましたが、よかったことや今後の課題などを話し合い、もっと効果的に使える単元があれば、来年度は別の単元で使ってみるなど、改善点が出てくるかもしれません。どの場面でどのレベルのことに使えるか、発表だけでなく、他の使い方もあるのかなどを模索して、教員同士で情報共有していきます。調べ学習や発表の内容をより充実させられるように、5年、6年に向けてレベルアップしていきたいです。

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4年生の授業を取材しました

社会 作成したプレゼン資料を使って発表

社会の授業では、8つのグループに分かれてテーマごとに調べ学習をし、プレゼン用の資料を作成。1回の授業で1グループずつ発表することになっており、この日は、「高原野菜の作り方」「山奥のくらし」などについて発表していました。文字を中心に資料を作った児童、写真やアニメーションを使って視覚的な演出に力を入れた児童など、作成された資料は様々。発表後には、仙波先生から発表の仕方について解説がありました。資料にばかり目線が行ってしまわないように、読むのではなくみんなの方を見て発表できるようにしようとアドバイス。仙波先生はさらに、資料はきちんと作られていても、その内容を理解しきれていないケースもあることに触れます。わからない言葉をそのままにせず、解説を入れながら発表できるとよりよい発表になると、次に向けた改善ポイントも伝えました。

発表が終わると、「ロイロノート・スクール」(授業支援アプリ)とテキストを使った授業が進められました。山脈、高原、高地、丘陵などの違いを写真で確認したり、例として挙げられた山脈の場所をすぐに地図上で探すなど、発表以外でもiPadが活用されています。

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国語 「平和な世界」をテーマにグループで調べ学習

国語の授業では、「平和な世界を作るためには」というテーマで、グループごとに調べ学習をしてプレゼンの準備をしていました。スライドごとに担当を決めて、それぞれが調べて資料を作るグループもあれば、男子が調べて、女子が資料を作るとうように、役割分担しているグループもあります。あるグループでは、女子がスライドの色にこだわり、背景の色を変えてみたり、グラデーションにしたり、いろいろと考えている一方、男子は写真を挿入する作業に集中していました。「人の命を奪った原爆」というタイトルをつけていたグループでは、そこに「二度と繰り返してはいけない悲劇」を付け足したいという意見が出たり、付け足す文字の大きさなどについて意見を出し合っています。Keynoteには、共同制作機能があり、グループのメンバーそれぞれが編集した内容をリアルタイムで共有できるので、他の子の進み具合も知ることができていました。
小野先生が、「前回見せた新聞(参考資料)はロイロノートの資料箱に入れてあるので、必要なときに見られます」と伝える場面もありました。資料箱には、様々なファイルを保存することができるので、子どもたちがもう一度見たいと思った資料を、見たいときに見ることができます。このように、授業の中でiPadを様々な形で活用していました。

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