取材レポート

西武学園文理小学校

新型コロナウイルスの影響による一斉休校期間中の取り組み

小・中・高12年間の一貫教育で、グローバルに活躍するトップエリートを育成する西武学園文理小学校。新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした休校期間中は、どのような取り組みを行っていたのでしょうか。オンラインを活用した動画配信による支援型授業の実際など、校長の飛田先生にお話を伺いました。

■西武学園文理小学校 校長 飛田 浩昭 先生のお話

動画配信による支援型授業で休校期間中の学びをサポート

  • Zoomを活用したことによる変化と新たな発見
  • 第2波の到来に備え、Classroomの導入を検討
  • 校長として伝えたいメッセージを動画で配信

    きめ細かい対応力のある私立小学校のススメ

    感染拡大防止に向けた取り組みの実際

    動画配信による支援型授業で休校期間中の学びをサポート

    5月の連休に入るまではゆうパックによる課題の送付と返却を繰り返していましたが、各ご家庭へアンケートを実施したところ、スマホあるいはパソコンなど情報機器の環境が整っていることがわかりました。そこで本校ではオンラインを活用した動画配信による支援型授業を進めることにしました。

    Zoomによるオンラインの一斉授業という方法もありましたが、アンケートによって75%の児童が一人で操作することに難しさを感じていることがわかり、繰り返し理解できるまで何度でも視聴できる動画配信に主眼を置きました。

    先生たちが制作した動画の数は全部で270本。学年で平均すれば45本にのぼり、人との接触を8割削減する中での作業だったので、先生たちにとってもギリギリの対応だったと思います。

    その結果、子どもたちが動画を視聴した回数は44,000回、総再生時間も2,520時間以上となり、先生たちの熱意に応える子どもたちの頑張りが数字としてもあらわれています。

     

  • Zoomを活用したことによる変化と新たな発見
  • 5月末の緊急事態宣言の解除を受けて、本校でも6月1日(月)から分散登校を開始しました。

    新しい担任の先生とも初めて顔を合わせる緊張の瞬間だったと思いますが、はじめから担任と児童の意思疎通がスムーズで、トラブルというトラブルもまったくありませんでした。

    それは休校期間中にZoomで朝の会と夕の会をしていたことが、おたがいの関係性を築くことにつながったのだろうと思います。Zoomにはこういう活用の仕方もあったんだなと新しい発見でした。

    Zoomを活用するにあたって、まずICT担当がマニュアルを作成して研修を行いました。先生同士で擬似ミーティングをしたり、それぞれ自宅からZoomにつないでみたり。

    OJTでひとつずつ課題をクリアしたことによって、一週間ほどで先生たちの抵抗感も無くなりました。ITに興味のある先生もそうではなかった先生も、それぞれスキルが向上し、その差が無くなったというのがコロナ禍の取り組みによって得られた成果だったと思います。

     

  • 第2波の到来に備え、Classroomの導入を検討
  • 当初と比べればZoomの操作性も上がって使いやすくなりましたが、現場の意見を参考にしてGoogleのClassroomを導入しようと検討をはじめました。

    Classroomを導入するうえで必要になるのが各ご家庭の承諾書。学校が再開したタイミングですぐに承諾をいただいたので、たとえ第2波によって再び臨時休校になった場合でも学びの質を保証できるよう体制を整えています。

    このページのTOP

    校長として伝えたいメッセージを動画で配信

    学校説明会が開けないという状況を受けて、急遽、学校のHPで動画を配信することにしました。本校の魅力を紹介する学校紹介動画で、英語教育やSTEM教育など4本の動画にまとめました。

    その中に「校長として大切にしていること」と題した動画もあるのですが、こういう校長が率いている学校だったら安心してやっていけるんじゃないかといった親御さんへの気持ちに応えるものです。

    これもコロナ禍ではじめた取り組みのひとつなのでぜひご覧ください。先日の学校・入試説明会は、オンラインでおよそ350家庭に視聴いただきました。8月には人数制限など対策を講じたうえで、回遊型の施設見学会をやりたいと計画を進めています。詳しくはHPの情報をご確認ください。

    このページのTOP

    校長 飛田 浩昭 先生

    校長 飛田 浩昭 先生

    きめ細かい対応力のある私立小学校のススメ

    新型コロナウイルス感染症という未曾有の危機によって、新しい時代が訪れ、価値観も変わろうとしています。この時代にどう生き残るかは教育のあり方にかかっていると思います。現状いろいろな話を聞いていると、きめ細かい対応力があるのはやはり私立小学校なのだろうと思います。

    本校に限らず、それぞれの学校にはそれぞれの特色がありますので、保護者の方には学校説明会や施設見学会などを通じてお子さんに合った小学校を見つけてもらえればと思います。

    このページのTOP

    感染拡大防止に向けた取り組みの実際

    6月15日(月)から全校児童が登校して通常授業を再開している今でも、本校では感染拡大防止の観点からさまざまな取り組みを行っています。

  • 健康カードの提出
    登校するとまず教室に入る前に石鹸で手を洗い、体温を記録した健康カードを担任に提出します。臨時休校期間中からずっと続けている取り組みのひとつです。
  • マスクの着用について
    文科省の指針にしたがって、登下校時は会話をしなければマスクをはずしても良いことにしています。また公共交通機関を利用する際はマスクを着用するよう指導しています。
  • 給食について
    他の学校と同じくみんな前を向いて会話をせずに黙々と食べています。 また料理はすべて個包装で、7月に入ってから先生が一品だけ取り分けるようになりました。
  • 手指消毒の徹底、シールドの設置、来校者への体温チェック
    サーモグラフィーの体温検知カメラを設置して、来校された方に検温をお願いしています。また手指消毒の徹底やシールドの設置など対策を講じています。
  • ソーシャルディスタンスについての啓発ポスター
    下足箱やトイレの前など密になりやすい場所に、ソーシャルディスタンスをとるよう促す啓発ポスターを掲示しています。
  • このページのTOP

    編集後記

    コロナ禍の臨時休校中の対応をめぐって学校の姿勢や取り組みに対する評価が分かれているようです。同校では、オンラインによる学習支援をするのに際しても、保護者への説明と理解を求める努力を惜しまなかったようです。その結果、「(文理の)先生、すごい!」「もっと(動画配信を)続けてください」といった学校評価につながり、保護者との絆やおたがいの理解を深めているところに12年間の一貫教育を信条とする学校の魅力を感じました。

    取材協力

    西武学園文理小学校

    〒350-1332 埼玉県狭山市下奥富600   地図

    TEL:04-2900-1800

    FAX:04-2968-0030

    URL:https://www.seibubunri-es.ed.jp/

    西武学園文理小学校